今年のジュネーブで個人的に気になったのは、アバルト124スパイダーとともに発表されたアバルト124ラリーです。
アバルトのプロトタイプ用コードネーム "SE" を引き継ぎ、SE139を与えられたこのモデル。ということは、SE037のランチア・ラリーやSE038のランチア・デルタS4の系譜を受け継いでいるわけで、そういう意味においても気になる一台です。
1970年代のフィアット・アバルト 124ラリーを彷彿とさせる新しいアバルト124ラリーは、FIA R-GTカテゴリーのホモロゲーションに準じた強化が施されており、車内にはロールケージが備わっています。
フロントミッドシップに搭載される1.8リッター直噴ターボエンジンは300 psを発揮。ノーマルのアバルト124スパイダーが1.4リッター直4マルチエアターボで170 psということを考えるとかなり強力。トランスミッションは、パドル付き6速シーケンシャルを採用しています。
ノーマルのソフトトップは、複合素材で形成されたハードトップに置き換わっています。このつくりかたも往年のフィアット・アバルト 124ラリーと同じ。ルーフに設けられたベンチレーターに惹かれます。
アバルト124ラリーは、2017年シーズンに向けて事前予約を開始すると発表されました。ただ、2015年から開始されたFIA R-GTカップはWRCとERCを含めて年間5戦しかなく、現在はポルシェ911 GT3のみが参戦している状況です。
FIA R-GTといえば、2011年のフランクフルト・モーターショーで発表されたロータス・エキシージ R-GTを思い出します。往年のタルボ・サンビーム・ロータスと一緒に展示され華々しいデビューを飾りましたが、結果的に立ち消えとなってしまったのは記憶に新しいところ。今度のアバルト124ラリーは、実験的な参戦に終わることなく実戦で活躍して欲しいものです。