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2016年01月 アーカイブ

2016年01月01日

年頭所感 -2016-

あけましておめでとうございます。

昨年は、雑誌『tranSpeed』で念願のグループB特集を組むことができました。内容的には反省すべきところも多々ありましたが、グループBの魅力について紹介する機会をいただけたことに感謝しております。

また、雑誌『ENGINE』では「デザイン優先のクルマ選び。」としてシトロエンBX 4TCの紹介記事を執筆。そしてWebメディアの『カレントライフ』では、オーナーインタビューやミニチュア大カタログなど、シトロエンBX 4TCに関するさまざまなコンテンツに携わることができました。

2016年はグループBが終了した1986年から、ちょうど30年目にあたります。

この30年の間に、クルマを取り巻く環境やテクノロジー、モータースポーツのレギュレーションなど、多くの変化がありました。テクノロジーやスピードは最新のものが最良であり、常に過去を凌駕することによって進化を続けています。

しかし、グループBモデルに対する評価が年々高まっていることは、グループBがエモーショナルな存在であり、普遍的な魅力を備えたモデルとして認識されていることの何よりの証拠でしょう。海外の自動車オークションでグループBモデルが高値で落札されていることも、それを証明しています。

チームと技術者たちの情熱、そして観客の熱狂が生み出した究極のモータースポーツ・カテゴリーであったグループB。路上に放たれたそんな空前絶後のモデルたちを、当ブログでは引き続き追いかけていこうと思っております。

今年もよろしくお願いいたします。

グループBマニア
代表 北沢 剛司

2016年01月10日

日産グローバル本社ギャラリーで240RSを展示

昨年12月14日から今年の2月中旬まで、横浜の日産グローバル本社ギャラリーにて日産名車再生クラブ10周年記念展示イベントが開催されています。

今回の主役は、1995年のル・マン 24時間レースに出場し、総合10位に入賞したNISMO GT-R LMの22号車。
日産社内の有志で構成される「日産名車再生クラブ」が2015年にレストアを行った車両です。

今回の展示では、2006年に「日産名車再生クラブ」が最初にレストアを手がけたニッサン 240RSも展示されているため、足を運んでみました。

この車両は、240RSのデビュー戦となった「1983年 モンテカルロラリー仕様」。しかし、ラリーへの出場履歴がなかったため、ラリーに向けて日本から送り出したときの状態で再生しています。

比較的広いスペースに展示されているため、ディテールをじっくり眺めることができます。

現在のところ2016年2月中旬まで展示される予定ですが、予告なく変更される可能性もあるため、見学はお早めに。

2016年01月12日

走り初め -2016-

新年の走り初めとして、週末に家族と実家の母を連れて初詣に行ってきました。

母からは「なんかギシギシ音がするけど大丈夫?」とか「駐車した後にエンジンが掛からないと車高が上がらないから止めないほうがいいんじゃない?」など言いたい放題。とはいえ、孫も一緒だったこともあって結果的には喜んでもらえたみたいです。

昨年はひとりで乗ることが多かったのですが、今年はいきなり4人乗車でスタート。4枚のドアを備えるシトロエンBX 4TCは、いざとなればファミリーカーとして使うことができる実用的なグループBカーでもあります。今回はそんな一面を見せてくれたドライブでした。

2016年01月18日

1986年モンテカルロ・ラリー 30周年特集 Vol.1

WRCにおけるグループB最後の年となった1986年。その開幕戦となったモンテカルロ・ラリーは、1986年1月18日から24日にかけて開催されました。

エントリーリストには、プジョー、アウディ、ランチア、オースティンローバー、シトロエンが名を連ね、フォードを除くグループBの主役たちが一同に集まる歴史的な一戦でした。

グループB史上もっとも豪華な顔ぶれで開催されたモンテカルロ・ラリーからちょうど30周年を迎えたことを記念して、「グループBマニア」では1986年モンテカルロ・ラリー特集を行います。当時のラリーの様子を振り返りながら、1986年モンテカルロ・ラリーのホビーアイテムなどをご紹介していきます。

1日目は、「シトロエンBX 4TCのベストミニカーを探せ!」です。

1986年のモンテカルロ・ラリーは、まず1月18日の朝にヨーロッパ内のパリ、ハンブルク、バルセロナ、ローザンヌ、モンテカルロ、セストリエーレの6箇所の都市から156台がスタート。翌1月19日朝に集結地点となるフランスのエクスレバンに到着するという伝統のコンサントラシオンで幕を開けました。

そのなかでも異彩を放っていたのが、パリからスタートしたシトロエンBX 4TC。このラリーがデビュー戦とあって注目されました。

そんなシトロエンBX 4TCの1/43ミニカーは、カーNo.15のJ.C. Andruet- A. Peuvergne組のマシンと、カーNo.17のP.Wambergue- J.B.Vieu組のマシンが製品化されています。なかでもNo.15のマシンは、マガジン付きミニカーのAltaya製品として3種類、ixoブランドで1種類がつくられています。そこで、昨年9月2日のブログで予告した通り、その4種類のレビューをお届けします。

こちらの3種類はいずれもマガジン付きミニカーです。中央のDeAGOSTINI「RALLY CAR COLLECTION」が一番最初のモデルで、手前左側の「PASSIONE RALLY」と、同右側の日本版デアゴスティーニ「隔週刊ラリーカーコレクション」は、ともに2015年に発売されたものです。

中央の製品はクリアケース付きですが、ミニカーと台座は同じでアクリルケースがブリスターケースになっている製品も存在します。また、「PASSIONE RALLY」と「隔週刊ラリーカーコレクション」では台座が異なっているのが分かります。

こちらはマガジン付きミニカーのAltaya製品とixo MODELSが自社ブランドで発売した製品の比較です。奥から「PASSIONE RALLY」、「隔週刊ラリーカーコレクション」、ixo製モデルの順に並んでいます。

安価に大量生産されるAltayaとコレクター向け製品のixoでは2倍近い価格差があるため、ixo製品は彩色が細かく、アンテナとワイパー部品が細身になっています。一番の違いは内装で、黒一色のAltayaに対してixoは塗り分けが細かく、スペアタイヤも搭載されています。

正面からの比較ではそれぞれの差異がはっきりします。左から順番に、Altaya製品のDeAGOSTINI「RALLY CAR COLLECTION」、「PASSIONE RALLY」、「隔週刊ラリーカーコレクション」、そしてixo製品の順に並べました。製作年度ではDeAGOSTINI「RALLY CAR COLLECTION」がもっとも古く、次にixo、そして「PASSIONE RALLY」、「隔週刊ラリーカーコレクション」の順番となります。

まず、一番左の初期のAltaya製品にはアンテナがなく、レンズ類の黄色も強めです。また、一番右のixo製品は中央位置で停止していたワイパーとふち取りされたレンズ類、そしてけん引フックの表現が特徴的です。中央右の最新作「隔週刊ラリーカーコレクション」のみルーフのダブルシェブロンの色味が明るいこと、そして中央左の「PASSIONE RALLY」ではシートベルトの再現が特徴的です。

なかでも興味深いのは、「隔週刊ラリーカーコレクション」のみ、バンパー下部のライト装着位置が異なることです。1986年モンテカルロ・ラリーのナイトステージの写真で確認したところ、この取り付け位置が正しいことが分かりました。フロントウィンドウ上部に貼付された "Citroen Competitions" の幅も正確で、「隔週刊ラリーカーコレクション」のリサーチの正確さが伺えます。

同じ並びでリアを比較してみます。右側のixo製品ではけん引フックが再現され、室内にはスペアタイヤが搭載されています。左側3つのAltaya製品はコスト面での制約があるものの、中央左の「PASSIONE RALLY」と同右の「隔週刊ラリーカーコレクション」では、リアフェンダー右側の給油口を再現しているのが高ポイント。さらに「隔週刊ラリーカーコレクション」のみ、ixo製品と同様にテールレンズの塗り分けを実現しています。しかしながら、リアパネル中央のナンバープレートが省略されています。ほかのディテール再現が素晴らしいだけに惜しいところです。

真横からの比較です。上段左がDeAGOSTINI「RALLY CAR COLLECTION」、同右がixo製品、下段左が「PASSIONE RALLY」、同右が「隔週刊ラリーカーコレクション」です。上段左の初期製品以外に装着されるアンテナのうち、「隔週刊ラリーカーコレクション」はixo製品並みの細さを実現。ホイールナットの塗り分けも行われ、ホイールに立体感を与えています。また、リアドア下部に貼付された"Valeo"のステッカーは、「隔週刊ラリーカーコレクション」のみ鮮やかな黄緑色で、これも実車に即しています。

このように検証すると、それぞれの差異が案外大きいことが分かります。出来の良さではixo製品の作り込みに軍配が上がりますが、リサーチの正確さでは「隔週刊ラリーカーコレクション」がベストといえます。2,086円+消費税で購入できるリーズナブルさを考慮すると、1/43 BX 4TCのベストミニカーは「隔週刊ラリーカーコレクション」といえるでしょう。

2016年01月19日

1986年モンテカルロ・ラリー30周年特集 Vol.2

グループBとしては最後のモンテカルロ・ラリーとなった1986年。その歴史的な一戦から30周年となることを記念して、1986年モンテカルロ・ラリー特集を行っています。

2日目は、「1/32スロットカーで再現する1986年モンテカルロ・ラリー」です。

当ブログでは、5年前の2011年1月18日にも1/43ミニカーでパルクフェルメを再現していました。

あれから5年、1/43ミニカーで新たに列に加えられるアイテムは、スパーク製プジョー205 T16 E2のカーNo.4 J.カンクネン車と同No.8のB.サビー車のみ。合計12台の並びを実現できる反面、あまり代わり映えしないのも事実。そこで今回はスロットカーで並びを再現してみました。

今回撮影した9台の製品は以下の通りです。
#1:Peugeot 205 T16 E2, T.Salonen - S.Harjanne, Scalextric製
#2:Audi Sport quattro S1, W.Röhrl - C.Geistdorfer, TEAM SLOT製
#4:Peugeot 205 T16 E2, J.Kankkunen - J.Piironen, Scalextric製
#5:MG Metro 6R4, T.Pond - R.Arthur, Scalextric製
#6:Audi Sport quattro S1, H.Mikkola - A.Hertz, Scalextric製
#7:Lancia Delta S4, H.Toivonen - S.Cresto, Scalextric製
#10:Peugeot 205 T16, M.Mouton - R.Harryman, OSC製
#15:Citroen BX 4TC, J.C.Andruet - A.Peuvergne, Maralic Models製
#17:Citroen BX 4TC, P.Wambergue - J.B.Vieu, Maralic Models製

それぞれの商品については改めてご紹介しますが、1986年モンテカルロ・ラリー仕様を製品化したアイテムの多さは1/43ミニカーに迫るほど。それだけ人々の心に印象づけられているということでしょうか。

ちょうど30年前の1986年1月19日は、ヨーロッパの6つの都市からエクスレバンに集結した各車が本格的な競技を開始した初日にあたります。コンサントラシオンの途中で4台がリタイアしたため、152台がエクスレバンのパルクフェルメに到着。この日の午後から、いよいよ6つのSSを含むクラスメントステージが開始されました。

エクスレバンを往復する418kmのコースのなかでも、最初のSS1は約2.6kmのショートコース。当時TV局がステージ内の各所にTVカメラを設置して中継を行ったほか、DVDやYouTubeなどでもこのステージの映像が多く見られます。そしてSS1でベストタイムを記録したのがランチア・デルタS4に乗るミキ・ビアジオン。続くSS2ではヘンリ・トイボネンがベストタイムをマークしてトップに立ち、SS3ではプジョーのティモ・サロネンがベストタイムをマークします。しかし、トイボネンの勢いは止まらず、続くSS4からSS6までの3つのSSでベストタイムを連取して2位以下を突き放しました。

この日行われた6つのSSを含むクラスメントステージの結果は、1位 H.トイボネン、2位 M.アレン、3位 M.ビアジオンとなり、ランチア・デルタS4の3台がトップ3を独占しました。

一方、グループBで真っ先に姿を消したのは、シトロエンBX 4TCのP.Wambergue。SS1を終え、SS2でサスペンショントラブルによりリタイアとなりました。

2016年01月20日

1986年モンテカルロ・ラリー30周年特集 Vol.3

グループBとしては最後のモンテカルロ・ラリーとなった1986年。その歴史的な一戦から30周年となることを記念して、1986年モンテカルロ・ラリー特集を行っています。

3日目は、「シトロエンBX 4TCのスロットカー」です。

1月18日にはじまった1986年のモンテカルロ・ラリーは、1月20日からコモンステージ(一般行程)がスタート。エクスレバンからモナコまで、19箇所のSSを含む1750km以上の距離を3日間をかけて移動します。

1月20日のレグ2では、SS7からSS11まで5つのSSが設けられ、SSのトータル距離は126.10kmでした。

前日のSS6で交通事故のためフロント部分を大破し、修理のため大幅なペナルティタイムを加算されたMGメトロ6R4のT.Pondはリタイアを選択。SS7にその姿はありませんでした。

また、この日最初のSS7では、シトロエンBX 4TCに乗るカーNo.15のJ.C.Andruetが右コーナー外側の電柱に激突。フロント左側のサスペンションを壊してリタイアとなりました。

そのクラッシュシーンを製品化したのが、スペインでレジン製スロットカー商品を製作するMaralic Modelsのジオラマ製品です。世界限定25個のこの製品は、車体のダメージ表現はないものの、雪に覆われた路肩と電柱、そして2人のギャラリーにより、そのときの様子を再現しています。詳しくはこちらをご覧ください。

このアクシデントにより、モンテカルロがデビュー戦となったシトロエンBX 4TCは全滅し、競技から姿を消しました。

前述のMaralic Modelsでは、このカーNo.15とNo.17のBX 4TCをセットにした商品もラインアップしています。すべてが手作業により製造・組み立てが行われるため、非常にクオリティの高い仕上げが特長です。詳しくはこちらをご覧ください。

ちなみにシャシー裏面はこんな感じ。スロットカーなので本来は走行系の解説も必要なのですが、私はコレクション専門なので割愛させてください。

カーNo.15のシトロエンBX 4TCは単品製品もラインアップされています。詳しくはこちらをご覧ください。

競技のほうでは、SS7でM.アレンが初のトップタイムをマーク、SS8とSS9はH.トイボネンがトップタイムをマークしてデルタS4の速さを見せつけます。ところがランチアチームはタイヤ選択をミス。SS10とSS11ではアウディのW.ロールがトップタイムをマークしてポジションアップを果たします。

この日の競技を終えてフランス南東部のグロスピエールに到着したとき、トップはH.トイボネンがキープしましたが、2位にはW.ロールが入り、初日からエンジンのミスファイアに悩まされているM.アレンは3位に後退。4位にはプジョーのT.サロネンが入り、M.ビアジオンは5位に後退しました。

2016年01月21日

1986年モンテカルロ・ラリー30周年特集 Vol.4

グループBとしては最後のモンテカルロ・ラリーとなった1986年。その歴史的な一戦から30周年となることを記念して、1986年モンテカルロ・ラリー特集を行っています。

4日目は、「プジョー205 T16のスロットカー」です。

1月20日にはじまったコモンステージ(一般行程)は2日目に突入。1月21日はSS12からSS19まで8つのステージが行われました。

この日最初に行われたSS12は、45.4kmのロングSS。ここではじめてトップタイムを記録したのが、ターマックを得意とするプジョーのB.サビーです。勢いに乗ったサビーはSS12からSS16までトップタイムを連発し、順位もそれまでの9位から一気に5位へジャンプアップ。また、SS3でトップタイムをマークしたあと波に乗れずにいたプジョーのエース、T.サロネンも次第に調子を上げ、SS15でランチアのM.アレンを抜いて2位に浮上します。

そんなプジョー205 T16のスロットカーは、複数のメーカーから製品化されています。なかでもイギリスのScalextricが発売したプジョー205 T16 E2は、1986年モンテカルロ・ラリーでNo.1を付けたT.サロネン車をモデル化。2500個の限定モデルとして販売され、シリアルナンバーも入っています。

製品自体は良くできているのですが、ホイールベースがやや長めで、パリダカ仕様のプジョー205 T16 GRのような印象を受けてしまうのが惜しいところです。

競技のほうは、SS12でアウディのW.ロールがパンク。スペアタイヤを積んでいたものの、それがスタッド付きだったため、3輪がスリック、1輪だけスタッドタイヤの組み合わせで走ることになり6位に後退。また、MGメトロ6R4に乗るM.Willsonがミッショントラブルでリタイアしています。

そしてトップを快走するH.トイボネンにとんでもないアクシデントが発生します。SS12を終えてSS13に向かう途中、なんと狭い道をラリーカーの如く飛ばしてきた一般車両と正面衝突し、フロント右側を大破。サービス隊による緊急修理により、次のTCになんとか1分遅れで到着という離れ業で競技に復帰しました。しかし、大きなダメージを受けたトイボネンのデルタS4は、右コーナーと左コーナーでハンドリングが異なるというカオスな状態に。そんな劣悪なハンドリングでありながら、SS17ではなんとトップタイムを記録しています。

ところで、1986年モンテカルロ・ラリーでは、それまでアウディをドライブしてきた女性ドライバーのM.ムートンがプジョー・タルボ・ドイツのプジョー205 T16 E1に乗り換えたことも話題となりました。

そのマシンを1/32スロットカーで製品化したのが、スペインのOSC社。OSCとはOriginal Slot Carsの略で、同社はほかにもプジョー205 T16 E1の1985年モンテカルロ・ラリー優勝車、プジョー205 T16 E2の1986年ツール・ド・コルス優勝車なども発売しています。このM.Mouton-T.Harryman組の1986年モンテカルロ・ラリー仕様は、624個の限定モデルでシリアルナンバー入りのカードが付属します。

ご覧のように、タミヤの1/24プラモデルを彷彿とさせる素晴らしい出来映えで、エンジンルーム内も繊細なパーツにより再現されています。これまで製作されたプジョー205 T16のスロットカーのなかでは決定版というべき圧倒的なクオリティを持っています。ただ、価格は前述のScalextric製品が2台買えるほど高価なので、気軽に走らせるならScalextric製品、コレクションが目的ならOSC製品という感じでしょうか。

そんなM.ムートンのプジョーは、1月20日の時点で8位につけていました。しかし、オイルプレッシャーのトラブルにより、SS14でリタイアとなっています。また、最初からエンジンの不調に悩まされてきたランチアのM.アレンも、SS17をフィニッシュする前にリタイアしています。

この結果、フランス南部のガップに到着した時点での順位は、1位 H.トイボネン、2位 T.サロネン、3位 M.ビアジオン、4位 H.ミッコラ、5位 B.サビーの順となりました。

2016年01月22日

1986年モンテカルロ・ラリー30周年特集 Vol.5

グループBとしては最後のモンテカルロ・ラリーとなった1986年。その歴史的な一戦から30周年となることを記念して、1986年モンテカルロ・ラリー特集を行っています。

5日目は、「1986年モンテカルロ・ラリーのスロットカーセット」です。

1月20日にはじまったコモンステージ(一般行程)は最終の3日目に入り、いよいよこの日の午後にモナコに到着という重要なステージ。1月22日は午前6時3分スタートのSS20からSS25まで6つのステージが行われました。

最初のSS20ではランチアのM.ビアジオンがトップタイムをマーク。ビアジオンはSS22でもトップとなり、好調ぶりを見せます。一方、トップのH.トイボネンはSS22でパンク。SS23の有名なシステロンではタイヤ選択に失敗し、このステージでトップタイムをマークしたプジョーのT.サロネンについにトップを明け渡してしまいました。

序盤のランチア独走劇から、次第にランチア対プジョーの対決となった1986年モンテカルロ・ラリー。スロットカーの世界においても、そんな対決図式をテーマにした2種類の1986年モンテカルロ・ラリーセットがイギリスのScalextricから発売されています。

その名も[1986 Rallye Monte-Carlo Limited Edition](品番:C3480A)として発売されたこの商品は、"Lancia Delta S4 Vs Audi Sport quattro S1" と書かれているように、1986年モンテカルロ・ラリーの主役だったH.トイボネンのランチア・デルタS4とH.ミッコラのアウディ・スポーツクワトロS1の2台セット。2000個の限定販売です。

デルタS4は、Martini Racingのロゴがないためやや間の抜けた感が否めません。基本的なカタチは良いだけに惜しいですね。

下回りはこんな感じです。

No.2のW.ロール車ではなく、No.6のH.ミッコラ車をセットに含めているのがポイント。ミッコラのマシンはミニカーではごく少数しか製品化されていないだけに画期的です。

下回りはこんな感じです。


J.カンクネンがドライブするプジョーは、序盤はエンジントラブルで出遅れたものの、次第に挽回。この日のSS21ではついにトップタイムをマークしました。しかし、SS24の途中でまさかのガス欠。観客にガソリンを貰って再スタートしたものの順位は6位にとどまりました。

また、前日に5つのSSで連続トップタイムをマークして5位につけたプジョーのB.サビーもSS24でアイスバーンに乗ってコースアウト。左リアタイヤが上を向いたままでの3輪走行となり、7位に転落。プジョーチームの2台は、トップに立ったT.サロネンとは対照的に不運に見舞われました。

こちらの商品は、[1986 Rallye Monte-Carlo Limited Edition]の続編として2000個限定で発売されたものです。

最初に発売された[品番C3480A]の商品はランチア・デルタS4とアウディ・スポーツクワトロS1の2台セットでしたが、こちらの[品番C3590A]のほうは、"Peugeot 205 T16 E2 Vs MG Metro 6R4" と書かれているように、プジョー205 T16 E2とMGメトロ6R4の2台セットになります。

MGメトロ6R4はNo.5のT.ポンドのマシン、プジョー205 T16 E2はNo.4のJ.カンクネンのマシンになります。

セットに含まれるMGメトロ6R4は、ライトポッドを装着した仕様。ホワイトとブルーのボディカラーが美しく再現されています。

下回りはこんな感じです。

一方のプジョー205 T16 E2は、カーナンバーなどが異なるほかは基本的に同じScalextric製の限定品として発売されたNo.1のT.サロネン車と同一のつくりです。

下回りはこんな感じです。


この日最後の計測区間となったSS25では、トップ争いを繰り広げるT.サロネンとH.トイボネンがともにトラブルやタイヤ選択によりペースが上がらず、代わりにアウディのW.ロールがトップタイムをマークしてモナコ入りを果たしました。しかし、1月20日に2位でフィニッシュしたW.ロールに60秒間の計時ミスがあったことが判明。新たに60秒のペナルティタイムが加算されてしまいました。

3日間におよぶコモンステージの結果は、1位 T.サロネン、2位 H.トイボネン、3位 M.ビアジオン、4位 H.ミッコラ、5位 W.ロールとなりました。

2016年01月23日

1986年モンテカルロ・ラリー30周年特集 Vol.6

グループBとしては最後のモンテカルロ・ラリーとなった1986年。その歴史的な一戦から30周年となることを記念して、1986年モンテカルロ・ラリー特集を行っています。

6日目は、「アウディ・スポーツクワトロS1のモデルカー」です。

1月23日から24日にかけて行われたファイナルレグは、文字通り最終決戦。モナコを2往復するステージを行い、勝者が決まります。

1月23日は10時15分にモナコのカジノ前をスタートし、SS26からSS30までの5つのSS、107.4kmが1本目。2本目は同日20時45分にスタートし、SS31からSS36までの6つのSS、150.8kmの戦いとなります。

優勝争いはプジョーのT.サロネンとランチアのH.トイボネンに絞られ、まさに2人の一騎打ち。前日終了時点での差はわずか33秒という接戦です。

SS26でトップタイムを記録したのはサロネン。有名なチュリニ峠を走る次のSS27ではトイボネンがトップタイムを記録するなど、緊迫した戦いが繰り広げられます。そして続くSS28でもH.トイボネンがトップタイムを記録し、ついにT.サロネンを逆転してトップに返り咲きます。SS29もトイボネンが連取。SS30ではサロネンがトップタイムを記録したものの、1本目のステージを終えた時点で、トップのトイボネンと2位のサロネンの間には37秒の差がついていました。


1986年モンテカルロ・ラリーの最終決戦はトイボネン vs サロネンの図式になりましたが、ラリー後半で調子を上げてきたのがアウディのW.ロールです。

W.ロールは1月20日のコモンステージ初日にSS10とSS11でトップタイムをマークしたほか、コモンステージ3日目では、T.サロネンと同タイムでトップとなったSS23からSS25まで3連取。最終日にも3つのSSでトップとなりました。

SSでトップタイムを記録した数はH.トイボネンの13が1番ですが、W.ロールはトイボネンに次ぐ8つのステージでトップタイムを記録。プジョー勢のトップタイムは、T.サロネンとB.サビーが5つずつ、J.カンクネンが1つに留まっていることからも、「モンテ・マイスター」と呼ばれたW.ロールの速さはこの年も健在だったことが分かります。

こちらはottomobile製の1/18アウディ・スポーツクワトロS1です。No.2のW.ロール仕様は2500個限定の通常品で、No.6のH.ミッコラ仕様はアウディ特注品で500個限定です。

これはレジンキットメーカーのスターター社が自ら完成品モデルとして発売したモデルです。かなり前に発売されたモデルですが、気になる経年劣化はなく、良好な状態を保っています。

これは "Walter Röhrl COLLECTION" として発売されたixo製のモデルです。750個の限定生産でした。

これはTEAM SLOT製の1/32レジン製スロットカーです。かなり旧い製品のため昨日紹介したScalextric製品と見比べると大味ですが、当時のグループBスロットカーはTEAM SLOTのレジン製品くらいしかなく、1000個限定だったこともあり、貴重な存在でした。今見ても、スポーツクワトロS1の迫力が充分伝わってきます。

これはProfil 24製の1/24レジンキットをプロモデラーが完成させた作品です。エンジンルームの再現もあるため、機会があれば自分でも作ってみたいキットです。

これはアウディがプレスキットとして報道関係者向けに少量配布したもの。ミニマックス社(スパーク)製1/87レジンモデルのアウディRS 5とアウディ・スポーツクワトロ S1の2台が、冊子およびUSBスティックとともに収められています。

1986年モンテカルロ・ラリーでは一度もトップに立つことなく終わったW.ロールですが、リザルトの良かったH.ミッコラよりもアイテム数が多く、いまだに高い人気を誇っているのが分かります。

2016年01月24日

1986年モンテカルロ・ラリー30周年特集 Vol.7

グループBとしては最後のモンテカルロ・ラリーとなった1986年。その歴史的な一戦から30周年となることを記念して、1986年モンテカルロ・ラリー特集を行っています。

7日目は、「1986年モンテカルロ・ラリーの雑誌とDVD」です。

1月23日から24日にかけて行われたファイナルレグは、モナコを2往復するステージでした。

1本目の5つのステージを終えた時点で、トップを行くランチアのH.トイボネンと2位プジョーのT.サロネンの差は37秒。2本目のステージでいよいよ勝者が決まります。

その最初の戦いとなるSS31に向かうロードセクションで、3位につけていたランチアのM.ビアジオンのマシンが電気系統のトラブルが原因でコースアウトしてリタイア。これでランチアはトイボネン1台を残すのみとなってしまいました。

そのSS31はトイボネンがトップタイムをマークし、チュリニ峠を舞台とするSS32もトイボネンがトップ。そして日付が変わり1月24日の0時53分にスタートした22kmのSS33では、トイボネンがサロネンを1分58秒も上回るトップタイムをマークしてサロネンの直後にフィニッシュ。両者の差は3分3秒に広がり、トイボネンが勝負に勝ちました。残る3つのSSはアウディのW.ロールが連取して、6日間・SS総距離881.1kmにわたる長い戦いが終わりました。

今回、1986年モンテカルロ・ラリーを振り返るにあたって資料にしたのが、当時の雑誌とインターネットの[eWRC-results.com]です。

グループBが現役だった当時は当然ながらインターネットはなく、WRCの映像についても、テレビ朝日系列の「CGTV」か、テレビ東京系列の「モータースポーツダイジェスト」、「モーターランド」などでダイジェスト映像を眺めるしかない時代でした。そのため、モータースポーツの結果は雑誌で得るのが普通で、毎回食い入るように読んでいたのを思い出します。

今回改めて雑誌を読み直してみると、経過や結果が詳細に記載されていること、そしてカラーページが少なく、リポートはほぼモノクロページで構成されていることに時代を感じました。

「オートテクニック」は、今はなき山海堂が発行していたモータースポーツ専門誌です。この1986年3月号では「SUPER 4WD?」と題した特集を組み、1986年シーズンを戦うグループBマシンの4WDシステムについて解説。ほかにも、M.ホームズのWRCリポート、「ワルター・ロールのラリーダイアリー」など、興味深い記事が多いのが特長です。

三栄書房が発行するモータースポーツ専門誌の老舗「オートスポーツ」では、1986年3月15日号で1986年モンテカルロ・ラリーをリポート。表紙には、日本の「チーム・マジョルカ」から日産パルサー・エクサで初出場し、35位で完走した藤巻 潤/鶴 一郎組の写真を掲載しています。ビル大友氏の詳細なラリーリポートも読み応えがあります。

国内外のラリーやダートトライアルをメインにした紙面構成により、他のモータースポーツ専門誌とは一線を画していた芸文社時代の「プレイドライブ」。1986年4月号に掲載された1986年モンテカルロ・ラリーのリポートは、上位10台および主要ドライバーのSSごとのタイムを表組で掲載。ライブ感満載のリポートと併せて、ラリーに強い専門誌ならではのこだわりが感じられます。

グループBの迫力を伝えるには、言葉で説明するよりも実際の走りを見るのが一番であることは間違いありません。YouTubeでも色々な映像が見られますが、DVDソフトには永久保存版としての存在価値があります。

さまざまなカテゴリーのモータースポーツビデオをリリースしているDUKEの「MONTE-CARLO RALLY 1986」は、1986年モンテカルロ・ラリーだけで58分の映像を収録。グループBの走りを存分に堪能することができます。

ドイツの「UNIVA MOTORSPORT VIDEO-MAGAZIN」では、1986年のモンテカルロ・ラリーとスウェディッシュ・ラリーを40分あまりにわたって紹介。DUKEのDVDソフトに比べるとボリュームは少ないものの、独自の映像素材もあるので見逃せません。

昔からのファンにはお馴染みのボスコ・モトのラリービデオ。現在は「'86 総集編」のDVDが販売されていますが、以前はVHSビデオで「'86 モンテカルロ」が発売されていました。60分の映像には、トップチームだけでなくプライベーターのグループB車両なども含まれています。いま改めて見てみると、いろいろな発見がありました。


グループBマシンのオールスターたちが激闘を繰り広げた1986年の第54回モンテカルロ・ラリー。30年が経過した今でも記憶に残る歴史的なラリーであり、グループBの集大成的なイベントとして今後も語り継がれていくことでしょう。

●最終結果
1位 H.Toivonen - S.Cresto, Lancia Delta S4 #7
2位 T.Salonen - S.Harjanne, Peugeot 205 Turbo 16 E2 #1
3位 H.Mikkola - A.Hertz, Audi Quattro Sport S1 #6
4位 W.Röhrl - C.Geistdörfer, Audi Quattro Sport S1 #2
5位 J.Kankkunen - J.Piironen, Peugeot 205 Turbo 16 E2 #4
6位 B.Saby - J.F.Fauchille, Peugeot 205 Turbo 16 E2 #8
7位 S.Servià - J.Sabater, Lancia 037 Rally #12
8位 A.Oreille - S.Oreille, Renault 11 Turbo #25 (Group A)
9位 K.Eriksson - P.Diekmann, Volkswagen Golf GTi 16V #22 (Group A)
10位 F.Wittmann - Feltz, Volkswagen Golf GTi 16V #20 (Group A)

2016年01月26日

スパークのスポーツクワトロS1に期待

先日、東京・南麻布の「Spark Gallery Minami Azabu」で、1/43スケールのアウディ・スポーツクワトロS1のサンプル品を発見しました。

Spark Japan様の許可を得て撮影させていただいたこのサンプル品。東京オートサロン2016のSparkブースでも展示されていたので、ご覧になられた方も多いのではないのではないでしょうか。

1987年のパイクスピーク・ヒルクライムでW.ロールのドライブにより優勝したアウディ・スポーツクワトロS1は、すでにいろいろなメーカーからさまざまなスケールで製品化されています。スパークではすでに同レースで2位となったプジョー205 T16が発売されているだけに、一緒に並べるのが楽しみです。

1/43スケールですでに発売されているミニチャンプス製品と比べると、エッチングパーツを多用したシャープなディテールが特長です。写真では分かりにくいのですが、ドライバーフィギュアもセットされています。

テールレンズ部分がメッシュとなるパイクスピーク仕様のディテールが的確に再現されています。

このサンプル品を見る限り、製品版も期待できそうですね。

2016年01月29日

ちょっと微妙な205 T16

先日、OttOmobile製1/18 Peugeot 205 T16 1000 Lakes 1984が発売されました。

A.Vatanenのドライブにより同車の初優勝となった1984年の1000湖ラリー仕様を製品化したものです。

製品自体のクオリティは良いのですが、ボディ形状に何か違和感があります。プジョー205 T16はグループBのなかでもかなりコンパクトなマシンですが、このモデルにはそんな実車の雰囲気が希薄というか、ロングノーズすぎて間延びしているように見えます。

前後の絞り込みが足りないのも気になりますが、それ以上にAピラーが寝すぎていることに違和感を感じます。

実車と見比べると、前輪からドアまでの距離とドアの寸法が長く、逆にドアから後輪までの距離が短いこと、それにルーフラインが低いことなどが、結果的にロングノーズに見え、Aピラーが寝ているように見える原因でした。

1/18スケールではソリド製のプジョー205 T16 E2がすでに発売されています。そちらは理想的なプロポーションであるだけに、今回のOttOmobile製品はちょっと残念な感じですね。

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