ショーの初日はメルセデス・ベンツのプレスコンファレンスからスタートしました。
最初にステージに登場したのが、レーシングマシンのMercedes-AMG GT3。ダイムラー会長のディーター・チェッツェ氏は、「レーシングカーの爆音で皆さんにお目覚めを」と言っていましたが、確かに朝イチの爆音は強烈なインパクトがありました。このMercedes-AMG GT3はグリルが極初期の300 SLレーシング仕様と同じ縦ラインになっているのが特長です。今後、メルセデスが縦ラインのグリルデザインをどのように展開していくのか注目です。
そして、同社が発表した大物モデルがメルセデス・マイバッハ S 600プルマン。以前のメルセデス・ベンツ600プルマンに乗っていたジョン・レノンにあやかって、ビートルズのコピーバンドの生演奏とともに登場という意表をつく演出でした。2002年にジュネーブでマイバッハ57/62がデビューしたときは厳かなオーケストラ音楽とともに登場したことを思うと、かなりの変化球です。
蛇足ながら、2002年のお披露目の際には、プレスコンファレンス終了後に白いドレスを着た女性たちがシャンパンを持って来場者に振舞うことになったのですが、ひとりの女性がお盆をひっくり返してシャンパングラスが割れる音が響き渡るという不祥事がありました。今回はそんなアクシデントもなく、レーシングカーからリムジン、Vクラスのプラグインハイブリッド車までバリエーション豊かなモデルが一斉に並び、壮観そのものでした。
毎年ジュネーブで新作を発表するマクラーレンは、今回500台限定の675 LTをデビューさせました。LTとはLong Tailの略で、会場にはマクラーレンF1 GTRも展示。また、サーキット専用車モデルのマクラーレンP1 GTRも展示されていました。
ところで、マクラーレンはフェラーリやアストンマーティンなどとともにブース内の入場者が増えすぎないよういつも気を配っているメーカーのひとつで、ブースの出入り口にカウンターを設置して入場者の入出場の確認を行っています。しかし、今回のマクラーレンは画期的なブース設営を行いました。それが、入口と出口を完全に分離したことです。これにより1箇所しかない出入り口が人々で混雑することを解消し、スムーズな動線を実現していました。ブース内の人々の動線にまで気を配るとは、さすがマクラーレンと感心してしまいました。
プレスコンファレンスは各社のCEOが自ら行うことが多く、大メーカーではテレプロンプターを使いながらCEOがスピーチ原稿を話すことがほとんどです。
中小のメーカーになると、今年創立50周年を迎えたアルピナのアンドレアス・ボーヘンジーペン氏やRUFのアロイス・ルーフ氏のように、メモを補助的に使ってスピーチを行っています。
しかし、ケーニグセグのCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏はそれらをまったく使いません。今回ハイブリッドスポーツカーの「レゲーラ」を発表した際も、自分でクルマのリアウィングを持ち上げたり、充電ソケットを開いたりしながら新型車を解説。これは自身の中に伝えたい内容が溢れているからこそ可能なことで、ケーニグセグ氏の見た目の迫力も相まって毎回強いインパクトを与えています。世界最速を競うスーパースポーツカーメーカーにふさわしい情熱的な姿が印象的でした。