先日のLe Mans Classicのオークションに出品されたBX 4TCの解説に気になる記述がありました。
それは、BX4TCのうち10台前後は2ドアのショートホイールベース(SWB)版として準備されていたというもの。グループB規定ではたとえエボリューションモデルであっても、かつてのDSのようなSWB版の認可は難しいだろうし、BX 4TCエボリューションは規定生産台数の20台が製作されたことから判断しても(ファクトリーで少なくとも18台が揃った写真がある)、これは最低生産規定台数10台とされたグループS用の開発車両が別に製作されたということでしょうか。
しかし、ミッドシップ+4WDでなければ勝てなくなった1986年当時に、さらに過激なグループS規定のためにBX 4TCをSWB化した車両を開発するなんて、アウディ・スポーツクワトロの失敗を目の当たりにしているだけに考え難い。第一、BX 4TCでさえ前車軸の前方にエンジンを搭載する無茶な設計をしているのに、それをSWB化するのは無謀すぎる。ということは、かつてシトロエンVISAのミッドシップにロータスの4気筒エンジンとSM用トランスミッションを縦置きした試作車のVISA Lotusのように、BX 4TCをベースにしたミッドシップ+4WDマシンを開発するつもりだったのでしょうか?いずれにしても、グループBの廃止によってすべて白紙撤回されてから四半世紀以上経過した今となっては、当時シトロエン・コンペティションの責任者だったGuy Verrierに訊ねる以外、真相究明はできそうにありません。
さて、肝心の落札結果ですが、ブラックのシトロエンBX 4TCは32,167ユーロ(税金・手数料込)で落札された模様です。[Sales Results] (プルダウンメニューで"7 Jul2012 Sale 2138, Sport & GTs au Mans Classic €"を選択)
現在1ユーロ100円を切る為替レートのためかなり安く思えますが、数年前に1ユーロ150円前後だった頃を思えば、相応の価格なのでしょうか。このほかに出品されたHeuliez(ユーリエ)コレクションも、2台だけ試作されたシトロエンSM ESPACEが109,605ユーロを付けたものの、これも200,000〜400,000ユーロという予想落札金額からは程遠いものでした。予想金額を下回る結果が多かったのは、Le Mans Classicというイベントの性質とHeuliezというキャラクターが微妙にミスマッチだったことも影響しているのかも知れません。それにしても、個人的に気になっていた1986年型シトロエンBX BREAK DYANAは10,127ユーロ、貴重な試作ロータリーエンジン車の1970年型シトロエンM35が14,892ユーロ、1987年のプジョー405 クーペUSAに至っては8,340ユーロという金額には、ちょっと驚かされます。
とはいえ、海外オークションでは思わぬものが予想できない金額で入手できる可能性があることを知ってしまったので、この先、自分自身のよからぬ考えが浮かばないことを祈るばかりです。
コメント (6)
先日、貴殿の4TCのエンジンルームを見させて頂き、至極感動しました。現在、自分の黒16V(元クーリー氏、所有)はクラッチが滑っていて、パーツ待ち。
白BX,19TRIは沼津より持ち帰った16Vのエンジンを移植中。
BXにはまり、七転八倒しながら、飼っておりますが、本当に一筋縄では行かず、往生しております。
いつか貴殿の4TCと一緒に写真を撮らせて頂きたく、頑張って再生修理するつもりです。
今度、何処かのオフ会にてお逢いできればと思っております。
梅雨で、雨が多いですが、御自愛の上お過し下さい。
投稿者: シトロ菌 | 2012年07月12日 17:02
日時: 2012年07月12日 17:02
BX4TCが約320万なんて安すぎます〜
色違いで3台位欲しいです(笑)
そう考えればRS200の600や650も安くないかも。
車屋では片手チョイと言われたと言ってました。
現在交渉しているグループBは3台ともとんでもなく安いですよ。
同じ車を持っている人が聞いたら卒倒すると思います(笑)
ですが車が投機対象でなく、本当に好きな人が購入しやすい
値段になるのはいいことだと思います。
欧州でストラトスの値段が3000万を超えて取引されていますが、
確かにいい車なのかもしれませんが、僕にはそんな価値がある
ようには思えません。
クラッシックフェラーリやミウラ、LP400にしてもそうですが、車の
本来の価値と取引されている価格があまりにもかけ離れてしまって
いるので、好きだけではかえない状況が続いております。
高い時に買われたグループBのオーナーには気の毒だとは思い
ますが、値段が安くなり流通することもグループBの存続の為には
いい事なのかもしれません。
投稿者: カズノン | 2012年07月12日 17:09
日時: 2012年07月12日 17:09
シトロ菌 さん
こちらこそ先日はありがとうございました。
シトロ菌さんのお名前は前々から存じ上げております。
お互いに維持する上の苦労は絶えませんね。
私のほうは、レリーズベアリングとクラッチシリンダーのOEMパーツの特定に時間を要していて、難儀しております。
次回お会いした際に改めてご挨拶させてください。
投稿者: グループBマニア | 2012年07月13日 12:50
日時: 2012年07月13日 12:50
カズノンさん
私も昨今の一部のスポーツカーの価格高騰につられるようなグループBカーの高騰に対して危機感を募らせていました。ヒストリー付きの競技車両は別として、少なくともグループBのロードカーは、本当に好きな人がなんとか頑張って買える程度の値段が妥当だと思います。
あまりにも高くなりすぎると将来の目標になり得なくなってしまうし、逆に安すぎると車両が荒れてしまうので、車両によっても異なりますが、個人的には500万円以上1000万円以内がグループBカーのひとつの目安だと思っています。
以前より買いやすくなったことで、趣味の対象としてのグループBカーが注目されるのは大歓迎です。私も増車したいなぁ……。
投稿者: グループBマニア | 2012年07月13日 12:54
日時: 2012年07月13日 12:54
やむを得ないとは言え、かつて歓声に湧いた栄光の記憶を維持出来ないのは
とてももどかしいのですね。
気温も安定しない日々が続いておりますが、呉々もお身体を御自愛下さい。
投稿者: 睡蓮 | 2012年07月15日 01:00
日時: 2012年07月15日 01:00
睡蓮さん
あまり昔の話ばかり掘り返しているのもどうかと思いますが、まぁ考古学ということで(笑)。
湿度が高いと人間にもクルマにも負担が大きいので、マイペースで活動しています。睡蓮さんもご無理を重ねないようにお過ごしください。
投稿者: グループBマニア | 2012年07月16日 10:14
日時: 2012年07月16日 10:14