BX 4TC Evolutionを走り倒す
シトロエンBX 4TCは、グループB車両のなかではスペック的にもリザルト的にもパッとしなかったため、かなりマイナーな存在です。そのため、ミニカーやレジンキット以外のアイテムはほとんど見掛けません。そんなBX 4TCが、なんとTVゲームに収録されたことを知り、遅ればせながらプレイしてみることにしました。
そのソフトとは、去る4月14日に発売された[WRC - FIA World Rally Championship]。
WRC公認ゲームのため、2010年のWRCに出場したマシンを忠実に再現し、各ステージも美しいグラフィックで収録。PC版/PS3版/Xbox版の3種類が用意されています。
個人的にもっとも気に入ったのは、日本製品版では海外版でダウンロードコンテンツとして用意されていたグループB車両がはじめから収録されていること。収録車両は、ランチア・デルタS4、フォードRS200、シトロエンBX 4TC、ルノー5 Maxiターボ、プジョー205 T16の5台。2010年のWRカーに比べるとカラーリングやスポンサーロゴなどの再現度が低く、BX 4TCを除く4台はすでに[グランツーリスモ4]にも収録されているため新鮮味が薄いなどの難点はありますが、とりあえず競技車両のBX 4TC Evolutionがプレイできるという点だけで購入決定です。版権などの絡みがあるとはいえ、アウディ・スポーツクワトロS1やMGメトロ6R4などのライバルを押しのけてBX 4TCが収録されたのは、近年稀に見る快挙ではないでしょうか。
肝心のゲーム内容は、一応初心者でも楽しめる内容にはなっていますが、基本的には[グランツーリスモ]に比べるとはるかに難易度が高く、特にグループB車両ではしっかり走り込まないとまったく上手く走れません。極私的なファーストインプレッションでは、シトロエンBX 4TCとプジョー205 T16は比較的運転しやすく、ランチア・デルタS4とフォードRS200は普通にじゃじゃ馬、ルノー5 Maxiターボは挙動変化が激しすぎてまともに走らせるのが困難でした。
さらに[グランツーリスモ]に比べてもコースの道幅が狭く、不用意にアクセルを開けられないところがリアルです。昔の[セガラリーチャンピオンシップ]では5車線くらいの幅広いコースを悠々とドリフトさせていましたが、最新のラリーゲームとはまさに隔世の感がありますね。しかもクラッシュするとマシンがダメージを受け、走りにもビジュアル的にも影響が出る設定になっています。そのため、クラッシュを繰り返していると、各ステージ終了後に流れるリプレイ映像では、痛々しい姿でヨタヨタ走る姿を見ることになってしまいます。
BX 4TC Evolutionが1986年のWRCに出場したのは、モンテカルロ、スウェディッシュ、アクロポリスの3戦のため、ゲームに収録されている2010年のWRCイベントでは、ラリー・スウェーデンが唯一それらしく走れるイベントになっています。しかし、スウェーデンゆえにコース両脇が雪の壁になっているため難易度が一層高く、少しでもドリフトアングルを間違えると即座に雪の壁にヒットしてしまい、いまだにダメージのない姿でリプレイ映像を眺めることができません。
果たして一丁前のBX 4TC遣いになれる日はやってくるのでしょうか?