「あなたの人生を変えた一台は何ですか?」と質問されたら、やっぱり「アウディ・スポーツクワトロS1」と答えるだろうなと、ふと考えてしまったのはアウディ フォーラム東京からの帰り道。
そう、去る2月2日からアウディ フォーラム東京で展示されている、アウディ・スポーツクワトロS1を仕事帰りに見てきました。
実車はやはり昨年インゴルシュタットで見たクルマと同じでしたが、ロープこそ張ってあるものの間近で見られたため、所々に塗装のヒビ割れや擦り傷などを発見。博物館によくあるリタイアしたクルマの展示物でなく、あくまでも動態保存という考え方で扱われている様子が伺えて嬉しくなりました。
現車はアウディTT RSクーペの記者発表会で展示されたため、現在は "New Audi TT RS Press conference" の名が入ったボードの前に展示されています。そのため後方の様子が見られないのですが、とさんの情報によると近々展示場所が移動になるらしいので、もう少し待ってから見に行ったほうがベストかも知れませんね。
さて冒頭の質問ですが、私の場合、最初に衝撃を受けたクルマはてっきりスーパーカー全盛期のランボルギーニ・カウンタックだと思っていたのですが、よく考えてみるとそれは違っていたようです。
正確には、当時住んでいた近所の商店街の電気屋さんのショーケースに飾ってあった、黄金色の1/43オールズモビル・トロネードのミニカーだったように思います。4歳前後だった当時の記憶として残っているのは、このミニカーと、家を出てすぐ隣の質屋さんに飾られていたトミカの什器、それにトミカとマッチボックスがたくさん入っていた青色のマッチボックスのミニカーケースくらい。逆にいえば、今でも強烈に覚えているのがミニカーの思い出ばかりというのは、親不孝者以外の何者でもありません(笑)。
そんな私が次に強烈な印象を受けたのが、前述のアウディ・スポーツクワトロS1でした。
当時、テレビ朝日系列の「カーグラフィックTV」と、土曜日の夕方にオンエアされていたテレビ東京系列の「モータースポーツ・ダイジェスト」で、グループBラリーカーの走る姿を初めてを見た私は、その迫力の走りとサウンドに一発でKOされたのでした。
特にスポーツクワトロS1は、「カーグラフィックTV」でオンエアされた、1985年のWRC第8戦アルゼンティン・ラリーのリポートで見たのが最初でした。スタイリッシュな空力ボディで評判だった市販車の姿とは正反対の異様なエアロフォイルと、5気筒ターボエンジンが発するいっそう高音になったエンジン音は、まさに衝撃以外の何者でもないものでした。さらにS.ブロンキストが渡河時にフロントスポイラーを割ってしまい、ちぎれたフロントフェンダーをヒラヒラさせながら走る姿も、異様さにいっそう拍車をかけていました。
そしてこのとき以来、アウディ・スポーツクワトロS1がMy favorite carsの第1位の座を独占し続けたのでした。
あれから四半世紀……。
いまだにグループBを追いかけている私をつくり出してしまった張本人のスポーツクワトロS1と、まさか東京で会えるなんて、今まで妄想さえ起こすことのなかった出来事でした。
まさに感無量です。